フェラーリのシャルル・ルクレールは、シャビ・マルコスの異動に伴い、次戦エミリア・ロマーニャGPから新たなレースエンジニアと共に仕事をすることになった。
マルコスは、ルクレールがザウバーからフェラーリに移籍した2019年シーズン初めから彼のレースエンジニアを務めてきた。
■フェラーリF1の戦略が良くなったように見える理由、サインツJr.がバッサリ「単にマシンが良くなって、プッシュできるようになっただけだよ」
それまでマルコスは、キミ・ライコネンのレースエンジニアを務めていたカルロ・サンティをファクトリーからエンジニアとして支援していた。ただ、長年フェラーリのドライバーコーチを務め、レースエンジニアとしてもパドック中から尊敬されるジョック・クレアが、2019年に行なったルクレール側のエンジニアリングチーム構築の一環として、マルコスが登用された。
そして5月9日(木)、フェラーリはマルコスがエミリア・ロマーニャGPを前にルクレールのレースエンジニアを降りることを発表した。
フェラーリの声明は以下の通りだ。
「組織なアップデート:フェラーリは5月13日(月)付けで、シャビ・マルコスがF1チームのレースエンジニアとして培った貴重な経験を、他の重要なカンパニープログラムの開発に活かすことを発表する」
ルクレールとマルコスのやり取りの中では近年、不和も見受けられた。タイトル獲得に近づいた2022年シーズンには、フェラーリの“行き当たりばったりな”レース戦略を巡り議論が展開された。
また2023年のアメリカGPでルクレールは、ポールポジションを獲得した後に、トラックリミットに関するマルコスの無線を聞き、怒りから「ステアリングホイールとヘルメットを殴った」と明かしていた。
そして2024年の中国GPでは、マルコスがルクレールにコースのある部分で「比較のため」に「本来のライン」を走るよう無線で提案したことで、ふたりの間に奇妙な誤解が生じた。
これにはルクレールも困惑した様子だった。その時のやり取りは次のようなモノだった。
マルコス:比較のためにターン7とターン8で本来のラインを試してみて。
ルクレール:何?
マルコス:ターン7とターン8で本来のラインを試してみて。
ルクレール:分からないよ。水平ライン? いったい何なんだ?
マルコス:本来のライン! レース序盤みたいな。
ルクレール:本来のラインって言った?
マルコス:本来のライン、そうだよ。
ルクレール:それはいったいどういう意味?
マルコス:もう忘れていい。最終ラップだ。
フェラーリはマルコスの後任には、現在ルクレールのパフォーマンスエンジニアでありチーム在籍10年のベテラン、ブライアン・ボッツィが就任することも発表。次戦エミリア・ロマーニャGPからルクレールのレースエンジニアを務めることとなった。
フェラーリは2025年シーズンから、カルロス・サインツJr.に代わってルイス・ハミルトンを迎えるが、今後のレースエンジニアの配属計画はまだ明らかになっていない。
サインツJr.のレースエンジニアには、前任者セバスチャン・ベッテルから2021年以降も引き続きリカルド・アダミが務めている。ただ両チームが合意に至れば、ハミルトンが長年レースエンジニアとして連れ添ったピーター・ボニントンをフェラーリに引き入れる可能性があるとも言われている。
メルセデスのトト・ウルフ代表は、ハミルトンのフェラーリ移籍が発表された2月の時点でボニントンの移籍の可能性について「これは今後数ヵ月の間に、誰もが行なう必要のある議論だ」と語っていた。
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